50才からの歯科技工

技術の先にある価値 – プロフェッショナルの考察

こんにちは、皆さん。今日は「技術の先にある価値」というテーマでお話ししたいと思います。プロフェッショナルの先にある価値とも言えるかもしれませんが、自分のスキルや感情を最大限に活用して得られる価値について考えてみたいと思います。

私は歯科技工士として歯を作る仕事をしています。当然、患者さんに対して自分の知識と技術を最大限に駆使して良い製品を提供したいと思っています。しかし、それだけではない価値があると最近気づきました。

私は直接患者さんの口腔内に触れることはありません。最終的に歯を患者さんに提供するのは歯科医師です。その時、歯科医師が恥ずかしくないもの、患者さんに価値のあるものを提供したいと思うのは当然です。その先生の思いに応えられることが、プロフェッショナルとしての私のもう一つの価値なのではないかと考えるようになりました。

歯科医師は患者さんに対して、噛み合わせがおかしい、色が合っていない、適合が悪いなどの理由で引け目を感じるような歯を入れたくないでしょう。患者さんは気づかないかもしれませんが、技術者同士は分かっています。歯科技工士も歯科医師も、「これはどうかな」と思う場面があるのです。

理想を言えば、医師は患者さんに対して妥協のないもの、現時点で考えうる最高のものを提供したいと思っています。そうすることで、患者さんだけでなく医師自身の精神的な安定も得られるのです。その思いに応えるという考え方も、プロフェッショナルとしての価値ではないでしょうか。

この考え方は私の仕事に限らず、多くの分野に当てはまるのではないでしょうか。直接的な価値提供ではなく、誰かが誰かのために何かをしようとする思いを強力にサポートすること。それがプロフェッショナルとしてのもう一つの価値なのかもしれません。

そういった価値を感じられるとき、人は幸せになれると思います。みんなが良いものを作り、良いサービスを提供すれば、全員が幸せになるのは当然です。しかし、人の役に立てるという実感は、それ以上の喜びをもたらすことがあります。

私の場合、歯科医師も歯科技工士も共にプロフェッショナルです。プロフェッショナル同士が価値を共有できるのは特別なことです。患者さんは専門的な部分が分からないこともありますが、技術者同士は互いの仕事の質を理解しています。

このような技術者同士の信頼関係は、一瞬で崩れることもありますが、少しずつ構築していくものです。そして、その関係性が技術者にとって、金銭的な価値以上の満足感や力を与えてくれるのだと思います。

歯科技工士として30年経って、ようやくこのことに気づき始めた気がします。