50才からの歯科技工

自作 集塵BOX(歯科技工)の紹介

歯科技工の作業環境を快適にするために自作した集塵ボックスについてご紹介します。市販の研磨ボックスもありますが、私の使い勝手に合わなかったため、開業時に自分で製作しました。製作から約10年間使用しており、非常に使い勝手が良いと感じているため、皆様の作業環境改善の参考になれば幸いです。

自作集塵ボックスの主な特徴

この集塵ボックスの最大の特徴は以下の点です。

  • マイクロスコープが使用可能: 市販品でも可能なものはありますが、上面が樹脂製だと傷がつきやすく曇ってしまうことがあります。この自作品はガラスを使用しているため、視界がクリアに保て、マイクロスコープを使った精密な作業がしやすいです。
  • 作業スペースの確保(二段構造): ボックス内の充分なスペースの確保により作業がしやすい。ボックスの上にも模型などを置くスペースがあり作業効率が上がります。

各部の構造と使用材料

ボックスの各部について説明します。

  • 正面ガラス板: 粉塵を防ぐために正面にはガラス板を使用しています。樹脂でも良いですが、ガラスの方が光を通しやすく、視界が良いです。また、ガラス板が天井と側面を支える構造のため、強度も必要です。厚さ約5mmの強化ガラス(横30cm、高さ20cm)を使用しています。これはAmazonで購入しました。
  • 上面板: 上面は厚さ5mm程度のアクリル板を使用しています。奥行き約45cm、幅約90cmの既製サイズのもので、全体を覆うためにこの厚みが必要でした。アクリル板はホームセンター(コーナン)で購入可能です。当時は5000円程度でしたが、現在は価格が変動している可能性があります。
  • 側面板・背面板: 側面と背面は木材(板)を使用しています。これもホームセンターで既製のサイズ(奥行き約45cm、高さ約20cm、厚み約1cm)のものを購入し、アクリル板のサイズに合わせて貼り付けています。特にカットはしていません。
  • 底板: 底板はベニヤ板を使用しています。その上に粉塵が下に落ちやすいように、アルミ板(またはステンレス板)を敷いています。
  • 手前の段差: ボックスの手前には段差を設けています。これにより、作業中の粉塵が手前にこぼれ落ちるのを防ぎます。厚さ25mm程度の角材を使用しています。

集塵システム

集塵システムは、自作の集塵ユニットと既製のバキュームで構成されています。

  • 集塵ユニット: ボックスの側面板に丸く穴を開け、そこにホースを接続しています。この穴あけには丸く削る工具を使用しました。集塵ユニット自体はアクリル板(厚さ約3mm)を加工して製作しました。約18cm幅、長さ約30cmのものを2枚購入し、アクリルの角材で高さを出して貼り合わせています。ユニットの中をくり抜く加工を施し、ここから粉塵を吸引する仕組みです。このユニットを設けることで、ホースが邪魔にならず、ユニットの上を作業台にして模型を置くことが可能になり、作業性が向上します。取り外して掃除することも可能です。
  • バキューム: 集塵ユニットに接続しているのは、レンフェルトのサイレントコンパクトというバキュームです。当時15〜6万円程度でした。以前は掃除機も使用していましたが、現在は主にこのバキュームを使用しています。掃除機はボックス内の粉塵をざっと吸い取る際に使用しています。

その他の工夫点

  • マイクロスコープ用ガラス板の取り付け: マイクロスコープで見る部分には、手前のガラス板と同じサイズのガラス板を使用しています。これは、上面のアクリル板をカットし、ガラス板の大きさに合わせてテープで固定しています。強度が少し不足するため、裏から透明な板(エルコデュールのような素材)で補強しています。上手な方であれば、アクリル板に段差をつけてガラス板をはめ込むことも可能かもしれません。
  • 正面ガラス板の固定: 正面のガラス板は、ホームセンターで販売されている、レール状に溝が掘られたアクリルの角材を使用して固定しています。下の支えも同様に角材を掘り込み、ガラス板がはまるようにしています。これにより、ガラス板を取り外して掃除することが可能です。また、手首が当たっても痛くないよう側面に、衝撃吸収材を両面テープで貼り付けています。
  • ハンドピースの二刀流: ボックス内にはハンドピースを2本置いています。バーの交換の手間が省け、作業の時短になります。1本はカボのハンドピースでトルクがありブレが少ないですが、熱を持ちやすいです。もう1本は中西のハンドピースでタフで熱を持ちにくいです。これらを使い分けています。高さが同じだと奥のものが取りにくいため、片方にはシリコンで台座を作って高さを変えています。
  • 膝押しエンジンの活用: 使用しているエンジンは2台とも膝押しタイプです。膝や足首で操作できるため、非常に楽に作業できます。

使用した材料の購入先

今回ご紹介した材料のほとんどはホームセンター(コーナン)で購入しました。正面のガラス板はAmazonで購入しました。Amazonで購入したガラス板やアルミ板などの材料については、詳細を概要欄に記載しています。ただし、現在も同じものが販売されているかについてはご確認ください。

その他の関連アイテム

動画では集塵ボックス以外にも、作業効率を上げるためのアイテムにいくつか触れています。

  • マイクロスコープ用LEDライト: IKEAで購入した小型のLEDライトを使用しています。現在は同じ商品があるかわかりませんが、眩しすぎずちょうど良い明るさです。
  • 静電気除去ブラシ: Amazonで購入しました。価格は約1万円程度でしたが、ボックス内の掃除が非常にしやすいです。静電気除去の効果についてはあまり実感はありません。

以上が、私が自作した歯科技工用集塵ボックスの紹介です。材料はホームセンターなどで手軽に入手できるものを使用し、できるだけ簡単に製作することを心がけました。皆様の作業環境改善のヒントになれば幸いです。

 

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