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【業界関係者が語る】インプラント詐欺事件から学ぶ、後悔しない歯科医院の選び方

こんにちは。歯科技工士として日々、歯科医療の現場に携わっている者です。

先日、歯科医師によるインプラント詐欺事件が報道され、業界内外に大きな衝撃が走りました。報道によると、治療の必要がない健康な歯まで抜歯し、高額なインプラント治療を行っていた疑いがあるとのこと。被害総額は1億円を超えるとされ、金銭的な被害だけでなく、患者さんの心身に与えたダメージは計り知れません。

このような事件は、インプラント治療そのものや、多くの真摯な歯科医師への信頼を揺るがしかねない、非常に悲しい出来事です。

そこで今回は、業界関係者の視点から、「自分の歯を安心して任せられる歯科医院をどう見極めるか」、そして**「インプラント治療とどう向き合うべきか」**について、私の考えをお話ししたいと思います。

そもそも「インプラント」ってどんな治療?

歯を失った際の治療法は、主に3つの選択肢があります。それぞれの特徴を簡単に見てみましょう。

  1. 入れ歯: 取り外し可能な義歯です。比較的安価で、周囲の歯を削る必要がない場合が多いですが、違和感やズレが生じやすい側面もあります。
  2. ブリッジ: 失った歯の両隣の健康な歯を削って土台にし、橋をかけるように連結した被せ物を装着します。固定式で安定感がありますが、最大のデメリットは健康な歯を削らなければならない点です。一度削った歯は元に戻らず、将来的なリスクを伴います。
  3. インプラント: 歯を失った部分の顎の骨に、チタン製の人工歯根(インプラント)を埋め込み、それを土台として人工の歯を装着する方法です。

インプラントは、ブリッジのように健康な歯を削る必要がなく、自分の歯に近い感覚で噛めるため、非常に優れた選択肢の一つです。しかし、外科手術が必要であり、保険適用外のため治療費が高額になるという特徴もあります。

今回の事件のように、歯科医師側から不必要にインプラントを強く勧められるケースには注意が必要です。

「この歯、抜きましょう」と言われたら?まずセカンドオピニオンを!

もし歯科医師から、特に健康だと思っていた歯の抜歯を勧められた場合、その場で即決しないでください。

必ず、別の歯科医院で「セカンドオピニオン」を受けてください。

抜歯は、元に戻すことのできない最終手段です。本当に抜く必要があるのか、他に治療法はないのか、複数の専門家の意見を聞くことは、自分の歯を守る上で極めて重要です。

費用や治療方針は歯科医院によって様々です。面倒に感じるかもしれませんが、特にインプラントのような高額で大掛かりな治療を検討する際は、2~3ヶ所の歯科医院を回って話を聞くくらいの慎重さを持つことをお勧めします。

【業界の裏側】信頼できる歯科医師を見抜くヒント

では、どうすれば信頼できる歯科医師に出会えるのでしょうか。一般の方には難しい問題ですが、実は業界関係者だからこそ知っているヒントがあります。

ヒント1:知り合いの「歯科技工士」に聞いてみる

これは最も確実な方法かもしれません。私たち歯科技工士は、様々な歯科医院から依頼を受け、歯の詰め物や被せ物、入れ歯などを製作しています。

そのため、どの歯科医師が丁寧な仕事をしているか、どんな治療を得意としているか、そして技術レベルが高いかどうかを、日常の仕事を通じて把握しています。 もちろん、公には言えませんが、親しい間柄であれば「あそこの先生は信頼できるよ」と教えてくれるはずです。

ヒント2:「歯科医師が通う歯科医院」を探す

同業者が自分の治療を任せるということは、それだけその先生の技術や知識を信頼している証拠です。これもまた、質の高い治療を受けられる可能性が高い医院を見つけるための一つの指標になります。

歯科衛生士さんや歯科助手さんなど、他の関係者から情報を得るのも有効です。

インプラントは「悪」ではない

今回の事件で「インプラントは怖い」というイメージが広まってしまうことを、一人の業界人として危惧しています。

インプラント治療自体は、失った歯の機能を取り戻すための非常に有効な選択肢です。多くの歯科医師が日々技術を磨き、患者さん一人ひとりと真摯に向き合って治療を行っています。

大切なのは、治療法そのものではなく、**「誰に治療してもらうか」**です。

まとめ:自分の歯は自分で守る意識を

歯は一生付き合っていく、かけがえのない財産です。

少しでも疑問や不安を感じたら、納得できるまで質問し、情報を集め、複数の意見を聞いてください。「先生に悪いから」「見栄を張りたいから」といった理由で、安易に治療を決断するのは絶対にやめましょう。

この記事が、皆さんが後悔しない歯科治療を選択するための一助となれば幸いです。